とにかく難しい「日本語」
アメリカ国務省が作成した「外国語習得難易度ランキング」というデータでも、日本語はぶっちぎりの難易度「カテゴリー5+」にランク付けされています。(最高ランク5+は日本語のみ。5は中国語、アラビア語など・・)
そんな日本語の「間違って用いられる事の多い言葉」を、間違って使いがちな一例を挙げながら紹介したいと思います。
そんなつもりはないのに・・・無礼だったりする言葉
自分では全くそんなつもりはないのに、意味を正しく知っている人からすると「何を言ってるんだコイツは・・」となってしまう言葉も多くあります。
役不足(やくぶそく)
上司「今回はキミに管理責任者をお願いするよ」
部下「ありがとうございます!私では役不足かもしれませんが、頑張ります!」
本来「役不足」というのは、演者の演技力に対してその役が劣っている、という意味。「私の実力から考えると、その役割では足りません」という事。
謙虚な姿勢のつもりが、逆に自信過剰になってしまいます。正しく使いたいならば「力不足」が適切です。
隅に置けない(すみにおけない)
上司「いきつけの店の可愛い子、あの子と最近仲良くなってさー」
部下「おおーっと、先輩も隅に置けないっすねー」
隅に置けない、は「思っていたよりも意外に才能や能力が高く、侮れない。油断ならない」といった意味です。
誉め言葉ですので、親しい上司や先輩に使う場合には大きな問題はありませんが「意外・予想外」と「侮れない・油断ならない」といった意味合いを孕むため、相手よっては不快な気分になる事もあります。注意しましょう。
さわりの部分(さわりのぶぶん)
後輩「話題になってる映画、見てきましたよ」
先輩「ホント?さわりの部分だけ聞かせてー」
後輩「えーと、最初は〇〇な感じで・・・」
これは無礼とは違いますが、意味を勘違いしていると「何を言ってるんだこの人は・・・」となってしまう言葉です。
話の「さわり」とは、最初の部分・冒頭という意味ではなく、肝心な部分・要点という意味です。
さわりの部分だけ・・と言われた場合は「要するに何を言わんとしていたのかを」を聞かれています。「お触り程度」といった意味合いではありませんのでご注意を。
無礼のつもりで言ったのに・・逆に称えてしまう言葉
今度はこれまでとは反対に、自分としてはマイナスの意味合いで使ったのに逆にプラスの意味になってしまう言葉です。
失笑(しっしょう)
「あははは・・・」とあきれ笑いをする、といった使い方をされがちですが、「あまりに面白くて、笑ってはいけないのに我慢できずに笑ってしまった」という意味の言葉です。
つまらない・笑えない、という意味で使うと間違いになります。
貴様(きさま)お前(おまえ)
相手を侮蔑する場合や、目下に対して使われる「貴様&お前」
こちらは「貴き様、御前」という漢字が現わすように、古来は敬意を含んだ言葉でした。・・・が、現代では意味が変わり、全く逆の使われ方になっています。
日本語は年月を経るうちに意味が変化する場合もあります。「貴様・お前」は現代の使い方で間違いではありません。
ただし、使う相手が「室町時代からタイムスリップしてきた武家の人」の場合は注意しましょう。
意味を勘違いしやすい言葉
何かを言い現わすために使った言葉でも、しっかりと意味を理解していないと間違った使い方になる言葉はよくあります。こちらでは「勘違いして覚えている人が多い言葉」を・・・。
破天荒(はてんこう)
「破天荒」は「型破り・豪快・めちゃくちゃな性格」といった使い方をされる事がありますが、正しい意味は「前人未踏の偉業を初めて成し遂げる」という意味です。
一代で大きな財を築いた起業家や、人類初の到達点までたどり着いた登山家など・・・。ぶっ飛んだ性格とは関係ありません。
確信犯(かくしんはん)
ダメな事だとわかって犯行をおかす事を「確信犯」だと勘違いしている人が多いですが・・・
宗教的・政治的・道徳的など、自らの信念によって「これが正しい事だ」と信じた行動によって犯罪を行った人が「確信犯」です。
「社会的には犯罪とされるが、自分は間違った事をしたとは思っていない」というのが本来の意味です。
爆笑(ばくしょう)
爆笑とは「たくさんの人がいっせいに笑う事」です。一人ではどんなに笑っても爆笑とは言いません。その場合は「大笑い」が適切な表現になります。
情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)
これでは許すのか許さないのかわかりません。
「情けをかけるのはその人の為にならない」という意味ではなく、「情けというのは相手の為だけにかけるものではなく、回りまわって自分を助ける事になる」という意味です。
あとがき
日本で生まれて日本で育った、生粋の日本人ですら間違えることの多い「日本語」
さきほど挙げた「貴様」などのように、時代が変わる事で意味が変わっていく言葉もあります。
将来的には今回「誤用例」として紹介した例が、誤用ではなく正しい使い方となる時代がくるかもしれません。